デミセクシュアルとは?当事者に聞いてみた【大切なのは絆】

ライター: JobRainbow編集部
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近年よく耳にするようになった「LGBT」。それに加えて最近は、「LGBTQIA」や「LGBTQ+」など頭文字の増えた略語が使われるようになっていることはご存知ですか?

実は「QIA」や「Q+」というのはレズビアンゲイバイセクシュアルトランスジェンダー以外のセクシュアリティを表しており、性のあり方は異性愛・レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの5種類に限ったものではないということがわかります。

その中でも今回は、デミセクシュアルについて解説していきたいと思います。

デミセクシュアルってなに?

デミセクシュアル(demisexual、半性愛)とは、他者に対して基本的に性欲を抱くことはないものの、強い愛情や深い友情を持った相手に対してなど、ごく一部の場合に性的な欲求を抱くこともあるセクシュアリティです。

恋愛感情に限らず、愛情や友情、絆がベースになる点でデミセクシュアルと言っても様々です。

同じように基本的に性的欲求を抱かないセクシュアリティとしては、ノンセクシュアルや、アセクシュアルなどがありますが、デミセクシュアルは相手との絆や友情、愛情などの精神的なつながりが大切であり、そのつながりを感じない限り、性的欲求を感じないセクシュアリティです。

例えば、

  • 親友と呼べるほどの仲の良い友人にのみ性的な感情を持つ
  • 相手に対して性的な欲求、恋愛感情は抱くことがなかったが、「相手への信頼や強い絆を感じる」出来事があった時に性的な欲求を初めて感じる。

などが挙げられます。

デミセクシュアルの特徴

ハイタッチする人たち

それでは、デミセクシュアルの特徴についてご紹介します。
もちろん、「これに当てはまったから必ずデミセクシュアル!」ということはありません。ですが、自分のセクシュアリティに悩む方の参考になれば幸いです。

1. 深いつながりや絆を持った相手に性的な欲求や恋愛感情を抱く

アセクシュアルとは異なり、デミセクシュアルの方は強い絆や愛情、つながりを持った相手に性的な欲求や恋愛感情を抱きます。

2. 初対面の人や知り合ったばかりの人には性的な欲求や恋愛感情を抱かない

デミセクシュアルの人は、精神的な深いつながりがない初対面の人や、知り合ったばかりの人には、恋愛感情や性的な魅力を感じることはありません。

精神的なつながりや、絆を大切にするデミセクシュアルは一目惚れもしないとされています。

3. 性別より相手との絆が優先されることも

デミセクシュアルの方が一番大切にしているのは、性別ではなく相手との精神的なつながりです。深い絆やつながり、愛情・友情などを感じることができる相手であることが重要です。

4. 性的な繋がりを持つ相手は親友であることが多い

デミセクシュアルの方は何よりも深い精神的なつながり、絆を大切にしています。

だからこそ仲の良い友人や、昔からの友人などの深い信頼関係や絆があるところから、恋愛感情に発展するということもあります。

やってみよう!デミセクシュアル診断

顔を向けあう人たち

ここまで読んで、「自分はデミセクシュアルかも?」と思った方へ。

次はデミセクシュアル診断をご紹介します。

自分がデミセクシュアルかもしれないと悩んでいる方は、参考にして頂ければと思います。

■一目惚れをしたことがない!初めて会った人に対して性的な感情を抱かない。

デミセクシュアルはすぐに性的な感情を持つことがないため、初めて会った人に恋愛感情を持ちません。
■すぐに性的な欲求や恋愛感情を持ったことがない。相手のことをじっくりと時間をかけて知っていきたい、関係を築きたいなと思う。

デミセクシュアルの方は、精神的なつながりを重視し、じっくりと相手との関係を築くことが重要だと感じます。
■性的な繋がりを持ちたいという気持ちはあるけれど、なかなかそういった人が出来ないと感じる。

デミセクシュアルの方は精神的な深い絆や、つながりを求めるため、好きという感情や、性的な欲求を抱くまでに時間がかかります。よって自分はなかなか好きな人が出来ないと悩んでしまうことも。
■自分が性的な繋がりをもちたいと思うタイミングと、相手とのタイミングが合わない。

デミセクシュアルの方はゆっくりと絆、つながりを深めたいと考えます。相手の気持ちについていけないなと感じたり、相手の考えとのずれを感じ、取り残されている気持ちになることもあります。
窓際で話す人たち

デミセクシュアルの人に聞いてみた!

今回はデミセクシュアルの友人に実際にインタビューをしてみました。

20代女性 Nさん

-自分がデミセクシュアルかもしれないということはいつ自認しましたか?

デミセクシュアルという言葉を知ったのはつい最近なので、はっきり自認したのは、ここ1年くらいですね。

インターネットで初めて「デミセクシュアル」という言葉を知りました。

中学生ぐらいから、周りが恋愛の話で盛り上がっている時に、自分は誰かにときめくということがなくて、いつ自分は恋が出来るのだろうと悩んでいました。

-ときめくことがなかったと言っていましたが、アセクシュアル(無性愛)かもしれないとは思いませんでしたか?

すごく恋愛したいなとは思っていて(笑)でもやっぱり相手のことをちゃんと知らないと好きになれないですし、性的なことはしたくないって考えてたんです。

私が好きになった子は、幼馴染で昔から仲良しで、家族ぐるみで交流があった子。この子なら何でも言える、何でも知ってる、これからもずっと一緒にいたいなって好きになりました。

-辛いこと、悩みなどはありますか?

私が「デミセクシュアル」という言葉を最近知ったように、セクシュアリティ自体があまり知られていないなと感じています。だから「お互いを知って、仲良くなってから付き合いたいんだ」って言うと、「変なの」とか「変わってるね」とか言われることもあって、ちょっと傷つくこともあります。

「信頼関係がないと恋愛したくないって普通のことじゃない?」って言ってくれる人もいます。

-デミセクシュアルで良かったなと思うことはありますか?

お互いをよく知っているから、すごく幸せな恋愛ができるなって(笑)

付き合った人は、「そんなに私のことを信頼してくれて、信じていてくれて嬉しい」って言ってくれました。

-カミングアウトはしていますか?

ごく一部の友人にのみカミングアウトしてます。

最近デミセクシュアルっていう言葉を知ったので、カミングアウトは全然していなくて、特に言って回る必要もないかなって思ってます。

でも自認できたのは、自分の中で大きかったです。自分だけじゃないって安心できました。

-最後にメッセージ、伝えたいことはありますか?

デミセクシュアルはあまり知られていないというのが、現実だと思います。私もデミセクシュアルのことをインターネットで知った時に、「あーこれこれ!自分はこれだ」って安心しました。

もっと色々なセクシュアリティがあると思うし、私も知っていきたいなって思います。

多様なセクシュアリティを知るということ

いかがでしたでしょうか。今回はデミセクシュアルというセクシュアリティを紹介しました。

なかなか知られていないセクシュアリティですが、これを読んでもやもやが軽くなったという方もいるのではないでしょうか。

セクシュアリティは、それこそグラデーションのように色とりどりで、一人ひとりに自分だけのセクシュアリティがあります。様々なセクシュアリティを知り、自認することはとても大切で自分自身のコミュニティーや生き方を広げてくれます。しかしそのセクシュアリティに当てはまるからと言って、その通りの決まった生き方をしなければいけない、必ずこうしなければいけないという訳ではありません。

あなたは、あなたです。

自分自身の今抱えている感情や思い、気持ちを大切にしていきたいと思うのです。

この記事が少しでも悩みを抱えた方々や自分のことをもっと知りたいと思っている方々に届き、自分を知るきっかけ、自分自身の世界が広がるきっかけとなれば嬉しいです。

参考文献

アシュリー・マーデル『13歳から知っておきたいLGBT+』ダイヤモンド社(2017)

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