最強の弁護士たちがLGBTのため立ち上がった!アライと当事者が手を取り合って、日本を変える!(LLAN Equality Galaレポート前編)

ライター: JobRainbow編集部
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「誰もが平等な社会を目指して」

10月19日、いつもは静かに依頼者を迎える長島・大野・常松法律事務所のロビーが、期待に満ちた笑顔と笑い声で活気づいていた。

LGBT弁護士・支援者ネットワーク「LLAN」(LGBT Lawyers & Allies Network)の第一回レセプションパーティEquality Galaである。

なんと150名以上の当事者・アライの法律家たちが一堂に会する催しとなった。

LLANは今年2月頃、ゴールドマン・サックス証券(GS)の法務部長である藤田直介氏と外資系法律事務所の数名の弁護士が出会ったことから生まれたネットワークだ。数ヶ月の間に国内の四大法律事務所の弁護士たちも加入し、他に類を見ない強力な法律実務家たちの集まりとなった。

会場の様子

パーティの冒頭、紋付袴を着こなし司会をこなすアレクサンダー・ドミトレンコ氏(フレッシュフィールズ)は、以下のように語った。

「LGBTの人は、自らそれを選択したわけではありません。ゲイの人もゲイであることを選択したわけではなく、レズビアンの人もレズビアンであることを自ら選んだわけではないのです。しかし、あなた方は本日この催しに参加するということを選択してくださいました。そして、その選択に感謝いたします。」

「LGBTコミュニティーはまだとても小さく、社会から排除され、クローゼットな状態です。あなた方のサポートや強いコミットメントなしには、我々はここにこうして立つことができなかったでしょうし、日本の平等も向上していくこともなかったかもしれません。」

「私は、日本のLGBTの人たちに向かって、確信をもってこう言えます、こうやってたくさんの人達が我々LGBTのことを応援してくれているのだということを。LGBTムーブメントをサポートするために、これほど大規模な法律家コミュニティーが一同に会するという今日のような催しは、世界中どこを探しても他にないでしょう。LGBTコミュニティーを代表して、私から、心より感謝の意を表します。一緒に頑張りましょう!」

GSの上司と部下の絆、アライとして小さな一歩が大きな前進に

発起人の一人であり、もう一人の司会者である藤田氏は、アライとしてメッセージを発信する。

「私の部下が去年5月にカミングアウトし、私のアライとしての旅が始まりました。彼が職場だけでなく、生き生きと生きることができる社会を実現したいと強く思い、わかったのですが、アライにとっての最大の課題は、その思いをどうやって形に変えるかだと思います。」

「今振り返って考えると、その鍵は最初に小さな一歩を踏み出すことだと思います。研修する、ちょっと人の話を聞いてみる、本を読んでみる。そう言った小さな一歩で大きな前進を成し遂げることができたと思います。」

カミングアウトした藤田氏の部下である稲場弘樹氏(ゴールドマン・サックス証券)に話を伺った。

「彼(藤田氏)は小さな一歩と言ったが、アライとしてすでに色々な活動をしています。私がカミングアウトしたことで彼が刺激され、このような会につながった。1人がカミングアウトすることの影響力の大きさ、パワーに自分でもびっくりしています。」

藤田氏は、「稲場君はカミングアウト後、200%の力を発揮できるようになった。以前はソーシャルイベントなどでどうしても萎縮してしまっていたが、それを私は彼の『消極性』のせいだと思っていた。(カミングアウトできないでいる人がいることは)日本の生産性にとってもおおきなマイナスだ。」と語る。

社内のアライの存在が、一人の背中を押すだけでなく、社会を巻き込むパワーに変わるということを、大盛況のパーティを見渡して実感する。

これから社会に出る学生に対しては、「まずは企業が変わらなければならないと思っている。多くのクライアントである企業を巻き込んで、僕らががんばります!」(藤田氏)こんな心強いメッセージをもらった。

GS法務部、藤田氏、稲場氏の画像
GS法務部、藤田氏、稲場氏

LLANに所属する当事者として

LLANはほとんどがアライで構成されているのが特徴の一つである。そんな中、パーティの後半、田中太郎氏(フレッシュフィールズ)はスピーチの中でカミングアウトした。

「実は私はゲイです。(カミングアウトしたのは)LLANのメンバーとしてではなく、日本に生きるLGBTの当事者として、皆様がここに集まってくれたことに対して本当にありがとうという気持ちを伝えたいからです。」

「私はゲイであるということを恥じていました。いじめを受けたこともあるし、今でも夢に見て眠れない日もあります。そんな私だったのですが、ゲイである自分を少しずつ受け入れて、今この場で私がゲイであることをお伝えしています。LLANのメンバーやここに集まってくださった皆様のように、ゲイである私を支えてくれる方がここにいてくださることをとても心強く思います。」

演説する田中氏
スピーチする田中氏

田中氏は、初めは国内の大手事務所に就職したが、自分のプライベートについて嘘をついている罪悪感から息苦しさを感じていた。外資系の事務所に移って、今はこうしてゲイとしての自分自身を受け入れることができ、生き生きと活動できている。

そんな田中氏から、JobRainbowの読者に対しては、「自分は一人だと思わないでほしい。気づいていないだけで、支えてくれる人は周りにたくさんいるはず。少しずつ、周りを信じて打ち明けてみて」と励ましをもらった。

LGBT弁護士・支援者ネットワーク「LLAN」への期待

外資系の企業や事務所の人々が発起人となった集まりだが、単にアメリカを始めとする他国の真似をするだけでは本当の意味で日本社会が変わることにはならない。LLANのメンバーたちはそのことに自覚的だ。日本においては、日本人自身が立ち上がることが必要であると感じているし、法律のプロフェッショナルとして日本社会に即したアプローチが期待できるだろう。

今回のGalaでは、様々な専門家であるゲストスピーカーたちが、日本のLGBTを取り巻く問題意識を共有してくれた。

LLAN Equality Galaレポート後編」では彼らの素晴らしいスピーチの一部とLLANの具体的なアプローチについて紹介する。

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