女子大生が二丁目ボランティアで変えた3つの行動

ライター: JobRainbow編集部
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はじめまして、JobRainbowライターのりえぽんです!

LGBT問題に関心があり、今年からJobrainbowのインターン生として働いています。

平日は都内の某私立大学に通い、休日は観光地やディープスポットを散策するといった日々を送っています。

大学進学と共に晴れて上京し、東京を謳歌する田舎者の女子大生がなぜ、新宿二丁目に足を踏み入れることになったのでしょうか…?

そもそも二丁目ボランティアとは何か?

新宿二丁目は、300軒を超えるゲイバーや商業施設が連なり、アジア最大のゲイコミュニティだと言われています。そして、新宿二丁目のメインストリートである仲通りの一角にcommunity center aktaという施設があります。NPO法人aktaがMSM(Men who have sex with man)を対象とするエイズ対策拠点として運営しています。HIV/AIDSの視覚化、啓発普及のために様々なイベントやアウトリーチを行っています。そのうちの一つがDelivery Boysです。

主な活動として、毎週金曜日(第3金曜日を除く)の夜に、新宿二丁目のバーを1グループあたり約40軒回り、フライヤーやコンドームを配布します。毎月第三金曜日はボランティア研修会を実施し、HIV/AIDSや性感染症の予防について知識と意識を高める座学やワークショップ等を行っています。

また、ボランティアスタッフによるイベントの実施や、レインボーリール東京による映画祭といったイベント会場へのアウトリーチも行っています。年代、職業、セクシュアリティを問わず様々な人達が活動しており、活動理由も人によって異なります。和気あいあいとした雰囲気が魅力的で、私は9ヶ月ほど続けています。もちろん、一回からでも参加可能です。

ある夜の様子

19:30~20:00 aktaにてメンバー集合、専用のユニフォーム(つなぎ)に着替え

20:00~20:15 グループ発表、配布物の説明

20:15~22:00 各グループでフライヤーやコンドームの配布

22:00~22:15 aktaに戻って着替え

22:15~23:00 反省会(お店でのエピソードや注意・連絡事項を各グループが報告)

23:00~    解散

なぜ女子大生が二丁目ボランティア?

私はストレートの女性で、LGBT当事者ではありません。しかし、身近に性的少数者の同級生がおり、女らしさ、男らしさに縛られて生活することに中学生の頃から違和感を持っていたため、将来は※ストレートアライとして、LGBT当事者と非当事者をつなぐ等、当事者に関わる活動がしたいと考えるようになりました。

そのために普段から当事者の人々に会い、理解を深めるつもりでした。しかし、私の大学では当事者のサークルが機能しておらず、研究者もいなかったため、そのような機会にはなかなかたどり着けませんでした。

そんな時、何気なく参加した東京レインボープライドで、aktaの存在を知りました。そこで、HIV/AIDS対策の啓発普及という形で、二丁目を訪れる人々に貢献しているaktaのボランティアに参加することを通じて、当事者の人々との交流が可能だと考えたのです。

コミュニティセンターaktaの画像

ところで、ボランティアに参加する前まで、私は一度も二丁目に行ったことがありませんでした。なぜなら、二丁目はゲイやビアンが集まる唯一のオアシスであり、かつ出会いの場であるというイメージを持っていたからです。ストレートで、しかも女子大生の私とは接点のない場所、だからもし店に行ったとしてもきっと歓迎されないだろうと思い込んでいました。

しかし、実際に参加してみると、ほとんどのゲイバーのママやお客さんが私のことを温かい言葉で迎え入れてくれました。「寒いのにご苦労様」「頑張ってね」…。それは今まで、このDelivery Boysに参加してきた方々の軌跡があって定着した信頼のおかげでもあるのでしょう。

それでも突然店に入ってきた私を、「男女の」世界から来た部外者ではなく、ボランティアのメンバーの一員として接してもらえたことに二丁目の人々の包容力の豊かさを感じました。ただ、お店によっては女性入店不可のところもあるので、そこは男性のメンバーを待機するしかありません。

参加の回数を重ねるうち、ボランティアを通して出会った人達から得られた気づきや学びが多くありました。その中から3つ紹介したいと思います。

※ストレートアライ(Straight ally) シスジェンダーヘテロセクシュアル(心と体の性が一致していて、異性愛)の人で、LGBT(性的少数者)を理解したい、支援したいと思う人のことをさす。

いろいろなコンドーム

女子大生が変えた3つの行動

1. 初対面の人に対して、性別が限定される呼び名は極力使わない。

外見で相手の性別を勝手に判断し、その性別に則した呼び方をするのは、相手の性自認とずれてしまう恐れがあります。相手の性自認を知らない場合は、~さんか、本人の認めているニックネームで呼ぶように心がけるようになりました。また恋愛について聞く時は「好きな人はいるの?」もしくは「パートナーはいるの?」と聞くようにしています。

2. 性感染症やHIV/AIDSについて学ぶようになったこと。

今まで他人事だと思っていた性感染症やHIV/AIDSについて、真剣に学ぶようになりました。予防策を知って自分の体を守ることが、相手のためにもなると知ったためです。さらに、女子大生にとって、性に関する相談は身内には話しづらいものですが、ボランティアのメンバーやaktaのスタッフに対しては、プライバシーが守られるため、安心して話すことができます。

3. 多様なライフスタイルを尊重すること。

ボランティアを通して、様々な年代、職業の人達と話す機会があります。人によっては、女子大生の常識を越えた生活をしている人もいます。

例えば私は両親から“高学歴かつ高収入の男性と結婚することが女の幸せである”と教えられてきましたが、結婚をしなくとも、シェアハウスに住むなどして周囲の人達とお互いに支え合って生活している人と出会い、両親の教えが全てではないことに気づくことが出来ました。結婚や出産はあくまで選択肢のうちの一つにすぎません。

人生の選択は個人の自由ですから、相手の選択も自身の選択と同様に尊重するべきだと学びました。

おわりに

近年はオネエタレントの活躍ぶりもあってか、LGBTという言葉の知名度が上がっています。一方で、ステレオタイプや偏見が未だはびこってしまっているのも事実です。

当たり前ですが、人は十人十色です。ゲイやレズビアンという言葉は個人の個性を形成する一部分にすぎないのです。これからも少しでも多くの人々がこのDelivery Boysに参加し、学びや価値観を広げ、二丁目を好きになって下さると幸いです。私もまだまだですが、続けていきます。

JobRainbowライター りえぽん

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